このページでは、パッシブデザインに関する基礎知識や注文住宅でパッシブデザインを取り入れる際の注意点を解説しています。
パッシブデザインとは、空調などの機械に頼りすぎず、太陽の光や熱、風など自然の力を最大限に利用するための設計手法です。「パッシブ(passive)」は日本語で「受動的」と訳されます。太陽や風など自然のエネルギーを「受け取る」という意味合いから、パッシブデザインと呼ぶようになりました。
人工的・機械的なエネルギーに頼らず自然のエネルギーを利用するには、高い設計技術が必要です。地域や地形によって異なる日射量や日照時間、風量や風向などを気象庁のデータから読み解き、シミュレーションを行ったうえで設計されます。
パッシブデザインと同じような言葉に「パッシブハウス」がありますが、両者はまったく異なる意味を持つ言葉です。
パッシブハウスには明確な基準があり、基準を満たし、かつパッシブハウス・ジャパンからの認定を受けることによって名乗ることが認められます。
それに対しパッシブデザインは、あくまでも自然の力を最大限に活用しようとする設計手法です。
パッシブデザインによって建てられた住宅を「パッシブハウス」と名乗っているケースがありますが、必ずしもパッシブハウス・ジャパンから認定されているとは限りません。パッシブデザインやパッシブハウスについて調べる際には、誤用や誤表記に注意しましょう。
※参照元:パッシブハウス・ジャパン事務局 (https://passivehouse-japan.org/biz/tool/)
パッシブハウスに関する詳しい知識を知りたい方は、こちらのページもご参考ください。
パッシブデザインと対比されて使われる言葉に「アクティブデザイン」があります。パッシブが受動的という意味を持つのに対し、アクティブは能動的という意味があります。つまり、能動的に冷暖房などの空調や給湯器、照明器具などを組み合わせ、効率的に快適な室内環境の実現を目指そうという考え方です。
よって、アクティブデザインでは、日中でも必要な冷暖房の種類や夜間使用時の計画を設計に反映します。パッシブデザインとアクティブデザインを組み合わせて取り入れることで、いかに少ないエネルギーで快適な室内環境を実現できるかを考えられるようになります。
パッシブデザインは、以下の5つの要素から成っています。ここからは、パッシブデザインの要素について詳しく解説します。
住宅全体の断熱性能を高めると、どの部屋にいても快適な住環境が実現します。よって、断熱性能はパッシブデザインにおいて欠かせない原則のひとつです。パッシブデザインは高断熱・高気密の家がベースとなっており、住宅の外壁や屋根、基礎、床、窓には断熱性能を高める施工で部屋の熱損失を防ぎます。
断熱性能にはUA値やQ値などの基準があり、その基準値内におさまるように設計されます。
冷房を使わず夏場に涼しい住環境をつくりだすには、太陽光、つまり日射を窓から入れないことが重要です。「日射遮蔽」とは、窓ガラスから侵入する太陽光や太陽熱をコントロールすることを指します。夏場にできるだけ太陽光が室内に差し込まないよう、軒や庇をつけて直射日光を防ぎます。
窓以外にも屋根や外壁に日射をはじく素材を採用し、室内の温度上昇を抑えます。外壁に当たる日射量を抑えるために、植栽を設置したり外構の設計を工夫したりといった方法も効果的です。
風を行き渡らせて建物内に溜まった熱を排出させるには、いかに自然風をコントロールできるかが肝心です。パッシブデザインでは、地域ごとの風の向きを踏まえ、建物内での風の動きを予測したうえで窓の配置や大きさ、間取りを設計します。
袖窓や出窓、壁面に水平に吹いてくる風を捉えるウインドキャッチャーは、自然風を取り込むのに有効です。さらに、吹き抜けや高窓を設け、立体的に風を通す設計にすれば家の中に溜まった熱を排出しやすくなります。
昼間に太陽光だけで過ごせる明るい室内にすれば、照明に使用するエネルギーを削減でき、光熱費も抑えられます。
リビングなどの空間は、2面以上に窓を設けるのが基本です。パッシブデザインでは、太陽熱による室温上昇を抑えつつ、建物内に差し込む光を上手くコントロールすることが重要なポイント。高い位置にも窓を設置します。吹き抜けや天窓、高窓など家の高い部分に窓を設けると、明るさを取り込みやすくなります。
日射熱をなるべく多く取り込み、その熱を夜間まで持続できれば、冬場の暖房エネルギーの削減につながります。パッシブデザインでは、夏の冷房期の平均日射取得率(ηAC値)をもとに、日射熱を利用しやすい窓の大きさや種類、軒や庇の角度、大きさを決めます。
日射熱を上手く利用するためには、取り込んだ熱を熱を外に逃がさないよう家の断熱性能を高くしたり熱を蓄えたりすることも重要なポイントです。日射熱を取り入れる「集熱」、熱を逃がさない「断熱」、熱を蓄える「蓄熱」の3要件を高いレベルで満たすことで、冬場に暖房を使わなくても快適に過ごせる住環境が実現します。
パッシブデザインの住宅は、緻密な計算や計画が必要なため、一般的な住宅よりも設計費が高くなります。パッシブデザインの要件を満たす窓や庇の構造・素材はその多くが高価なものです。さらに、高品質な断熱材なども必要なため、建築コストも高くなる傾向にあります。
長期視点でみれば光熱費などのランニングコスト削減にはつながりますが、初期費用とのバランスを考えて検討することが大切です。
パッシブデザインの住宅をつくるには、周囲の環境や地域の気候・自然条件を計算しなくてはなりません。それに加えて顧客のこだわりや間取りの希望を加味しながら設計するため、高い計算力と設計力が求められます。
パッシブデザインを実現できる知識と高い技術を有する会社は、全国的にみてもそれほど多くはありません。注文住宅をパッシブデザインにしたいなら、まずはパッシブデザインの建築事例がある会社かをチェックするようにしてください。
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画像引用元:岡田工務店公式サイト(https://g-labo-house.com/works/2023/04/new-31.html)
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